フィボナッチリトレースメントとは、価格の値動きが過去のピークと谷の位置に引き戻される性質を利用したテクニカル分析の手法です。
フィボナッチリトレースメントが上下同じタイミングでピークや谷を形成する重なった部分をコンフルエンスと呼びます。実際のチャートで解説します。
フィボナッチリトレースメントについて
フィボナッチリトレースメントは、株価などの値動きにおいて、過去のピークや谷の位置が支援・抵抗線となり、価格がそれらの値段に引き戻される性質を利用したテクニカル分析の手法です。フィボナッチリトレースメント自体が、抵抗線に当たるという意味です。
この手法は、市場の価格変動には一定の法則性や周期性が存在し、過去の値段が支援や抵抗となるエリアが再びテストされる傾向にあると考えます。具体的には、過去の安値で下落が止まったり、過去の高値を上回れないことがしばしば見られます。
フィボナッチ数列に基づく
フィボナッチリトレースメントが着目するのは、フィボナッチ数列に基づく水準です。フィボナッチ数列とは、先頭の2つの数字(0と1)に始まり、その後は前の2つの数字を足した数字が次の数字となる、ある固有のパターンを持つ数列です。この数列に基づく割合は、自然界や市場の動きにおいても頻繁に現れるといわれています。
フィボナッチ比率
具体的には、直近の山や谷から、そのピークまたは底値の23.6%、38.2%、50%、61.8%といったフィボナッチ比率の水準が、支援や抵抗のエリアとなりやすいのです。
過去の上昇や下落の動きがこの水準で展開していれば、今後も同じ水準が重要な意味を持つと分析します。
例)ドル円日足
例えば、下記のドル円日足のチャート(2023/1)を例にすると、頂点から下降した1番下で、フィボナッチリトレースメントを引くと、38.2%の箇所で戻り売りが発生している事がわかります。
最後の反動が38.2%水準である箇所が、抵抗線となっていると見るわけです。
MT4でのフィボナッチリトレースメントの引き方
MT4におけるフィボナッチリトレースメントのチャートへの引き方は以下の通りです。
直近の頂点から底値に向かって引く
まず、チャート上で、フィボナッチリトレースメントを引きたい山や谷の高値と安値をクリックして設定します。すると自動的にその2点を結ぶ線が引かれ、その線に対する主要なフィボナッチ水準線が表示されます。
自動的に水平線が引かれる
自動的に水平線が引かれます。表示される主な水平線は、23.6%、38.2%、50%、61.8%です。これは先ほどのピークと谷の値からのフィボナッチ比率に基づいています。
この比率は自然界に頻出する数学的な割合で、市場の動きにも共通の法則性が見られるとされています。
水平線=支持線&抵抗線
これらの水準線は、過去のピークや谷がもつ支持・抵抗力を示す目安となります。実際に値動きがその水準で止まったり反転したりするケースが多く、重要な意味を持つ場所となりえます。
押し目・戻り目のポイント
フィボナッチリトレースメントのラインの中でも、38.2%と61.8%が押し目・戻り目のポイントとして重要視される傾向にあります。特に61.8%での反発は、大きなトレンドが発生することがあります。
さきほどのAUDJPYの1時間足のチャートを見てみると、わかりやすいです。
61.8%が、ものすごい支持線となっているのが分かります。なんと、130pipsも反発しています。
時間軸を変えてチェック
また、時間軸を変えながら、短期的な水準と長期的な水準を合わせて引けば、さらに精度の高い支援・抵抗線を引くことが可能です。さきほどのチャートを5分足にして、引き直すとこうなりました。
時間軸を落とすたびに、精度としては低くなります。5分足レベルになると、61.8%のラインは簡単に抜かれる事がありますが、フィボナッチリトレースメントの数値が大きくなればなるほど、支持線としては強いので戻る傾向があります。
重なる部分=コンフルエンス
やっと、今回のテーマであるコンフルエンスについて解説させていただきます。
フィボナッチリトレースメントにおけるコンフルエンスとは、複数のサイクルの山や谷が同じタイミングで重なり合う現象のことを指します。これはテクニカル分析において、非常に強力なシグナルとなり得る状況です。
例)日足と1時間足の重なり
例えば、日足チャートで見た長期的な下降トレンドと、60分チャートで見た短期的な上昇トレンドで、2つのサイクルが重なった部分が、大きな抵抗域となる可能性が大きく高まります。
ドル円の日足で下降でフィボナッチリトレースメントを引いて
日足61.8%と5分足23.6%のコンフルエンス
5分足で、直近の上昇でフィボナッチリトレースメントを引くと、日足のフィボナッチリトレースメント61.8%のライン(点線)と、5分足のフィボナッチリトレースメント23.6%(黄色線)が、ほぼ重なっている箇所があります。ここが強い抵抗線となります。
例)上昇と下降のコンフルエンス
同一時間軸の上昇のフィボナッチリトレースメントと、下降のフィボナッチリトレースメントでも、コンフルエンスは発生します。下図は、上昇のフィボ23.6%と、下降のフィボ38.6%のコンフルエンスで反発しているのが分かります。
山と山、谷と谷の重なりは更に強い
逆に、それぞれのサイクルの底が同時期に重なった場合は、強力な支援域が出来上がることになります。月足と日足の底が一致すれば、そこからの上昇余力が大きくなるとみることができるでしょう。
フィボナッチリトレースメントでは、さらにそれぞれの山や谷から引いたフィボナッチの水準線同士が合致するケースもコンフルエンスの一種と見なされます。
このように、異なる時間軸のサイクルで山や谷、フィボナッチ水準が重なるコンフルエンスは、反転や強力な支援・抵抗域が出来上がる兆候と捉えることができ、効果的なエントリーポイントを見極める上で大変有効な手法といえます。
コンフルエンスでのトレードタイミング
コンフルエンスについて解説しましたが、トレードタイミングは、抵抗となる線での逆張りになります。
押し目・戻り目
フィボナッチリトレースメントのコンフルエンスでは、実際のトレードタイミングとしては、押し目や戻り目でのエントリーが有効です。
コンフルエンスエリアでは、一時的にその水準を押し通す強い圧力がかかることがあります。しかし、最終的にはその領域に引き戻される結果となるケースが多いのです。
したがって、コンフルエンス水準を上回る押し目の局面では、一旦強気な動きとなるものの、そこからの反落に警戒する必要があります。逆に、コンフルエンス水準を下回る戻り目の局面では、売り圧力は強まるものの、その水準での底入れを期待できます。
例)AUDJPY日足と4時間足
例えば、日足と4時間足の谷がコンフルエンスする抵抗域での押し目の場合は、そこからの反落に備えた利確が重要になります。100pips以上取れるエントリーチャンスとなります。
このように、コンフルエンスエリアの反対方向への一時的な押し目や戻り目を、最終的な修正の兆候と捉え、エントリーチャンスとするのが効果的な戦略といえます。
移動平均線の重なり
コンフルエンスと移動平均線が重なる事も、よくあります。確実に抵抗線として機能するので、信頼度は高いです。
以下のような箇所では、逆張りとしては非常に大きなポイントになります。
キリ番との重なり
130円、145円など、小数点がなくキリのよい数字の事をキリ番と呼びます。キリ番自体も強い抵抗線、支持線として機能します。
コンフルエンスと重なったときに、強力な抵抗線として機能することが多いです。
まとめ
フィボナッチリトレースメントのコンフルエンスについて、説明させて頂きましたが、効果的なテクニカル分析を行うには、過去の値動きの中から、実際に機能する抵抗線や支持線を見極める作業が大事になります。
その際、単に過去の安値や高値だけでなく、複数のサイクル間のフィボナッチリトレースメントのコンフルエンスに注目することで、さらに精度を高めることができます。
コンフルエンスが発生した時点で直ちに強気や弱気方向転換が始まるとは限りませんが、そのエリアでは確実に滞留することが多くなります。したがって、逆張りのエントリーチャンスを検討材料としても扱えます。
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