ニッポンアイドルトークン(NIDT)が昨日大幅に値下がりし、一時1/5の価格まで下落しました。NIDTは日本のアイドルグループをテーマにした暗号資産で、昨年末に発行されたばかりの新興トークンです。詳しくまとめてみます。
チャートでみた暴落率
右肩上がりだった通貨が、見事なまでに暴落しました。
典型的な仕手の動き
ニッポンアイドルトークンを支持していた方には申し訳ないのですが、仕手っぽい動きだなーと、ここ1週間の動きをみていて思いました。絵に書いたような仕手の教科書どおりの動きなのです。
仕手についての基本は、過去にこちらの記事で解説しました。ビットコインでも発生しますが、草コインは、もっと多いです。
NIDTについて
ニッポンアイドルトークン(NIDT)は、日本のアイドル文化をテーマとした暗号通貨です。ERC20ベースです。
コンセプト
NIDTは複数の人気アイドルグループを擁する大手芸能プロダクションと契約を結び、それぞれのグループの人気や話題性をバックに価値をつけていました。
トークンはグループのCDセールスや握手会チケット売上といったアイドルの経済活動をブロックチェーンで可視化し、ファンの支援によってその価値が生み出される仕組みが特徴でした。
発行から低迷が続いてましたが、2023年9月に入り一時は1NIDT=100円まで値を上がりました。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | Nippon Idol Token |
シンボル名 | NIDT |
総発行枚数 | 1,000,000,000枚 |
IEO販売総数 | 300,000,000枚(30%) |
SNS上では「アイドルを応援する意味でNIDTを買う」といった声も上がり、他の暗号通貨とは違った独自世界を形成していました。
公式サイト
ホワイトペーパー
発行メンバー
松井証券株式会社取締役、株式会社SBI証券代表取締役執行役員専務、株式会社マネーパートナーズ常務取締役、フォビジャパン株式会社取締役などを務めた佐藤義仁さんを筆頭に錚々たる顔ぶれです。
- 佐藤義仁
- 澤昭人
- 洲﨑大樹
- 水野信之助
購入可能な取引所
NIDTは、まだ海外の取引所には上場していません。今回のIEOは以下2つの取引所でIEOが行われました。
2社でIEOを実施し、それぞれの割り当てが50%です。1つの取引所において1.5億枚(15%)のNIDTが販売されたことになります。
暴落した原因
100円という大台をつけた直後、NIDTの価格が急落しました。
NIDTをめぐっては、アイドル文化の商業化への批判も根強くありました。ファンの熱意を利用して巨額の資金を集めるという側面も否定できませんでした。そうした矛盾が内包するリスクが現れた可能性も指摘されています。
こうして人気を得たNIDTですが、仕手勢にうまく使われたという感じでしょうか。
板が薄すぎる
元々流通数が少なく、大口の保有者に依存していた価格が一転して90%下落したのです。理由は不明ですが、一説には大手保有者の1人が大量放出したことでパニック売りが発生したとも言われています。
この手の草コインは、板がどれだけ活発なのかが重要です。価格だけで見ないほうがよいです。ビットコインなど売買が活発な通貨は売買が活発で問題ないのですが、海外で非上場のマイナー通貨は板が薄すぎるのです。
その証拠に暴落直後のBidとAskの差は、こんな感じ。バカじゃないの?っていうくらいの差です。
過去にこういう草コインは買っては駄目という記事を書いたのですが、NIDTは、まさにこれに当てはまります。
売り板、買い板が分からない方
「板」っていうが分からない方は、こちらの記事で、過去に解説しました。トレーダーとしては必須です。
売り板、買い板が薄い通貨は暴落しやすい
売り板や買い板が薄い通貨は、価格変動が大きいのが特徴です。需給のバランスが崩れやすく、少しの動きでも大きな価格変動を引き起こしてしまうのです。
一方的な方向に動きやすい
例えば、売り板が薄ければ需給の売り余りが生じやすく、価格は下落方向に動きやすくなります。逆に買い板が薄ければ買い支えが弱く、売り圧力に押されて下げやすい状況になります。
いずれにしても、取引所の板情報を見ると買い注文・売り注文ともに動かず、数量が少ないのが分かるでしょう。
こうした薄い板の通貨では、一時的な売り圧力や買い圧力でも価格が大きく振れ動くことになります。
仕手をしやすい
例えばわずかな量の売り注文が出れば一気に下落し、少量の買いもあるとすぐに跳ね上がるといった具合です。
極端なケースでは数パーセントの価格変動が日常的に起こり、ボラティリティが非常に高くなるのが特徴です。
流通量が少ないのが原因
背景には、流通量そのものが少ないことがあります。発行数が少ないうえ、実際に取引されている数量が限定的な通貨では、需給を左右する力のある大手の売買さえないため、取引のたびに価格が振れ動くのです。新興の小規模な暗号資産ではしばしばこのような状況にあります。
このため、流通量の少ない通貨では一部の大手による売買で価格が大きく変動しやすく、場合によっては大暴落を引き起こすケースも少なくありません。
一旦下げが始まると買い支えを期待できず、パニック的な売りがさらに進むという悪循環にも陥りかねません。思わぬタイミングで投機的な動きが起こるリスクが高いのが特徴です。
今回の暴落の原因は不明ですが、流通量が少ない中で一部の大口保有者が売り浴びせたことでパニックが広がった可能性があります。
NIDTの今後
一旦、これで落ち着いたと見て買いに走るのは危険かなと思います。他の通貨のチャートを見てみると分かります。
こういう仕手通貨は、大暴落を起こすと、そこでニュースになり、初心者が大量に買いに走ります。これだけ暴落したから、逆張り的に買えば儲かるという算段です。
しかし、更に売り浴びせをさせられるケースが多いです。ご注意を。僕も過去に何度も痛い目をみましたので、こういう訳の分からない草コインは最近は買っていません。
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